◆ 女性の現代病 ◆
月経前3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経が始まるとともに減ったり消えたりするものをいいます
月経前症候群は女性特有の症状で少なくても80%以上の人が経験したことがあるといわれています。
昔と違い、現代は、晩産化・少子化のために一生のうちに迎える月経の回数が極端に増えたことが、月経前症候群の概念を生んだともいえます。
◆ 原因は、ホルモン?神経伝達物質 ◆
原因にはさまざまな説がありますが、不明です。
考えられている説として、卵巣ステロイドホルモンに対する標的器官(ホルモンの影響を受ける器官)の感受性の差が原因であるとするもの、水分貯留症状や低血糖類似症状からレニン・アンジオテンシン系の異常、耐糖能の異常があるとするもの、セロトニンなどの神経伝達物質の異常分泌があるとするものなどがあります。
精神的、身体的ストレスは月経前症候群の原因ではないとされていますが、月経前症候群を悪化させるともいわれています。
◆ 対人関係に影響をあたえることもあります ◆
月経前症候群の症状は人によってそれぞれで、にきび、胸の張り、睡眠障害、むくみ、便秘、下痢、頭痛、腰痛、食欲の変化、関節痛、周囲散漫、イライラしやすい、気分不安定、心配性、うつなどがあります。
そして、仕事の能率が落ちたり、口論が増えたり、家にひきこもるなど、家庭や職場で周りの人まで巻き込んでしまうこともあります。
ただし、症状の現れ方には変化があり、月によって程度が異なることも少なくありません。
◆ 日常生活に支障はありますか? ◆
体調や気分の変化があっても日常生活が普通に送れているか、仕事に影響が出ていないかなどの問診を中心に行われます。
月経前は誰もが多少体調が悪くなったりイライラしやすくなったりしますが、それらの変化が極端で日常生活に支障をきたす程重症と判断される場合のみ、月経前症候群と診断されます。
◆ SSRIと生活習慣の改善が治療のカギ ◆
薬物療法と非薬物療法があります。
薬物療法は対症療法、ホルモン療法、向精神薬に分類されます。
対症療法としては利尿薬、鎮痛薬などが用いられます。
ホルモン療法としては低用量ピルを用いることがあります。
向精神薬としては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が第一選択となっており、黄体期だけの投与でも十分効果がみられることがあります。
漢方薬が有効なこともあり、試してみる価値があります。
非薬物療法としては、症状を調査して、その成り立ちをよく理解し、食事、運動、リラクゼーションなどにより生活習慣を改善します。
◆ 基礎体温を記録しましょう ◆
月経が来たとたんにケロっと治ってしまうのが特徴なので、基礎体温をつけながら体調の変化を記録することで、自分でも月経前症候群なのか見当をつけやすくなると思います。