◆ 適応障害は明確なストレスが原因です ◆
適応障害とは、ある社会環境においてうまく適応することができず、様々な心身の症状を呈する症候群であり、職場不適応や登校拒否などと呼ばれます。
心理・社会的ストレス(環境要因)と個人的素質(個人要因)とのバランスの中で、いろいろなストレス反応(心理反応、行動反応、身体反応)が生じますが、これらは外界からの刺激に適応するための必要な反応です。
ところが、ストレスが過剰な時、個人がストレスに対して脆弱である時に、このバランスがくずれて様々な障害をきたすようになります。
適応障害の発症に関しては個人要因が大きな役割を果たしていますが、ストレスがなければこの状態は起こらなかったと考えられることが、この病気の基本的な概念です。
適応障害はすべての年齢において起こり得ますが、女性が男性の2倍と言われています。また生活環境が大きく変化する時期に特にリスクが高くなります。
適応障害の原因となるストレスは離婚、失業といった深刻なものとは限らず、他の人にとってはそれほどに感じられない場合もあります。
◆ 適応障害の身体症状と問題行動 ◆
適応障害で現れる症状はその原因となるストレスの経験後、通常3ヶ月以内に出現します。
適応障害の症状は多彩であり、不安、抑うつ、焦燥、過敏などの精神症状、頭痛、不眠、食欲不振、腹痛などの身体症状、遅刻、欠勤(不登校)、過剰飲酒などの問題行動があります。
そして、次第に対人関係、社会的機能が不良となり、引きこもってうつ状態となります。
◆ 適応障害は他の精神障害がないことが前提です ◆
不安を伴う適応障害の症状や発症の原因などを問診により検討します。
適応障害の診断には次の条件を満たすことが必要です。
・はっきりとした心理・社会的ストレスに対する反応で、3カ月以内に発症する。
・ストレスに対する正常で予測されるものよりも過剰な症状。
・社会的または職業(学業)上の機能の障害。
・不適応反応はストレスが解消されれば6カ月以上は持続しない。
◆ 適応障害の原因となっているストレスを軽減させます ◆
適応障害の対処で一番大切な事は症状の元凶となっている原因を取り除く事です。
環境要因を調整し適応しやすい環境を整えることや、場合によっては休職、休学して休養し、心的エネルギーを回復することが必要です。
原因さえなくなれば時が経つにつれ症状は良くなり、通常6ヶ月以内に回復します。
その間を乗り切るためにはカウンセリングが役に立つことがあります。
カウンセラーと会話することによって症状のもとになっている原因を見つめ直すことができ、気持ちが楽になります。
心理療法によって、原因となったストレスの本人にとっての意味を理解し、それに対する対処法を学ぶと、同様なストレスに将来、接した時に例え症状が出現してもその症状の程度を軽減する事ができます。
そして、それぞれの病型に応じて、主要な症状に対して薬物療法が必要な場合もあります。
◆ 適応障害の予後は良好です ◆
適応障害の予後は一般に良好であり、病気の原因となっているストレスが取り除かれると、半年以内には発病前の状態に戻れます。
しかし、ストレスが慢性的に続いてしまうと、うつ病などのより深刻な病気へ移行してしまう危険があります。信頼の置ける人や、医師やカウンセラーに相談しましょう。